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重なる在米日系企業への人事訴訟と米国の差別解消への動き

  • Eriko Imaizumi
  • Jul 7, 2022
  • 3 min read

Updated: Jul 14, 2022

2022年6月3日(同7月14日修正)

4か月で4社の訴訟のニュース

このところ、毎月のように在米日系企業への人事訴訟が報じられています。3月はエレベーターのフジテック(オハイオ)、4月はSony Entertainment(カリフォルニア)、 5月にはトヨタケンタッキーにおける病欠日数の計算の間違いについて、集団訴訟の可能性、そして6月にはWismettac(旧西本貿易)が、労働組合組成を阻んだという問題でNLRB(全国労働関係委員会)から訴えられ、ついに最高裁で争うことになったとのニュースが伝えられました。フジテックは黒人法務部社員が米人社長から人種差別にあったというもので、またSony Entertainmentでは会社ぐるみの給与、昇格に関する女性差別が団体訴訟に発展しそうです。Wismettacに至っては、第9巡回区控訴裁判所で敗訴したことで、最高裁で争うところにまで発展しています。


米国でのDEI注目度

米国ではMe, Tooムーブメントが一段落したものの、今度は更に広い範囲での人権を問うDEI(Diversity. Equity and Inclusion, 多様性、公平、包括性)が注目を浴びており、国全体が差別のない職場つくりに動いている様相です。採用においても、大企業優位の採用を是正し人種や性別差別をなくすために、コロラド州が他州に先駆けて、企業に人材募集時の広告に給与レンジや福利厚生の明示を義務付けるPay Equity Law(給与公平法)を今年から施行しました。レンジがあることで中小企業にもいい人材が集まるようにした法律ですが、採用難のこの時期に、いい人材にレンジ以上の給与を払えない、競合他社がレンジの上限を上げる、など企業からは評判がよくない法律です。

米国における差別是正のトレンドとして、古くは大学などが少数民族の入学を優先するAffirmative Actionがありましたが、これが企業にも広がってきているという実際です。障碍者を雇用する場合にも、一定数以上の従業員がいる企業ではReasonable Accommodation(合理的配慮)を提供する義務もあり、あらゆる人に差別のない公平な職場を提供するために、米国では法整備が進められています。それは同時に、差別に関する訴訟の増加につながっていきます。


リスク管理として、日系企業へのDEI 研修徹底が急務

日本人は総じて差別には疎い方です。面接時に、家族構成や通勤時間の長さを聞いただけで差別を疑われることになるなど考えも及びません。その上、米国人の上級管理職やHR担当者を雇っておけば、そのような差別問題は起こらないだろう、と思っている節もあります。ところが、今回のフジテックもSony Entertainmentも、現地の米国人経営者層の起こした問題でした。そして不幸にも、これが日本の本社を巻き込んで、何億ドルという損害賠償支払いの判決の可能性が出てきたのです。

このような状況を防ぐために、現在、在米日系企業において、DEIや差別に関する全社的な教育や研修が、企業のリスク管理の一つとして非常に重要になってきています。


 
 
 

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